馬頭観音

梵名はハヤグリーヴァ(音写:何耶掲梨婆)で「馬の首」の意味。他の観音が女性的で穏やかな表情で表されるのに対し、

馬頭観音のみは目尻を吊り上げ、怒髪天を衝き、
牙を剥き出した忿怒(ふんぬ)相である。このため、「馬頭明王」ともいわれ、

菩薩部
ではなく明王(みょうおう)部に分類されることもある。 また「馬頭」という名称から、民間信仰では馬の守護仏としても

祀られる。さらに、馬のみならずあらゆる畜生類
を救う観音ともされている。

 

近世以降は国内の流通が活発化し、馬が移動や荷運びの手段として使われることが多くなった。これに伴い馬が急死した

路傍や芝先(馬捨場)などに馬頭観音が多く祀られ、
動物供養塔としての意味合いが強くなっていった。

 

この観音さんは不思議なことに顔が三面あり、時に手が六本ということもあるらしい。観音さんの頭の上にさらに馬の頭がある。

昔は村人を天災、災害、病気から守ったり、
旅人や馬の無事を祈るために祀られたらしい。そのためか、一般的には小部落の

はずれ
となるところに見られる。

 

写真で見ればわかりますが、今もお供え物が添えられたり、前掛けをかけてもらったりと、地区の方から大切にされている様子が

うかがえる。久谷地区では旧坂本村にのみ
存在し、荏原にはない。

地区名の前の番号は後にある地図で場所を参考にしてください。


1 榎地区

 

丹波バス停から南へ500m。榎橋を渡ると写真右に場所に出る。この道をしばらく南進(200m程度)すると、

弘法大師に関係のある網掛け石に着く。

 

2 網掛け石の南から遍路の旧道

網掛け石から南へおよそ100m、ここで道路が2つに分かれる。

右の道はあまり使われてない遍路道。それをたどって300m。道路右側の目につきにくい場所に祀られている。

 

3 桜地区北側

 

昔の遍路宿「坂本屋」から北へ大体180mの場所だが、写真のように崖に祀られていて、見過ごしやすい。手入れがいきとどいている

 

4 桜地区南側

 

坂本屋から南へ400mの場所にひっそりとたたずんでいる。この付近は遍路のお墓も多い。ここも手入れ状態が良い。

 

5 奥久谷

 

坂本基幹センターの南、出口橋を渡らず南に向かって右側の道路を直進する。780m先で葛掛五社神社に出会う。

この道は大久保経由で国道33号線への近道と
なっている。

この神社からさらに500m行くと、道路が2つに分かれている。そこで旧道の左側の方へ250mで人家の端になる。

右側の小高い場所にみえるのがこの馬頭観音。
かってはその右側の狭い道路が大久保のほうへ抜けるメーン道路だった。

 

6 大久保

国道33号線を砥部町から走り始めて最初の信号を右に折れると、新しくできた国道で久万高原町への近道になる。

そこを右折しないでそのまましばらく走ると、道路左側に
久谷町大久保という小部落がみえる。そこにある坂本地区へ

の道を200mたらず走ると
道路左側に空き地があり、その先50mに昔の小路が残っている。急坂である。そこを約

200m下ると道路左側に馬頭観音が祀ってある。ここは放置状態に近い。

 

7 𧃴川地区

𧃴川(つづらがわ)を登りつめた林の中に存在する。その周辺は観音さんや手作りの像が祀られ、近くには廃校となった𧃴川分校もある。

往時、ここの村人はふもとへ下りたり、通学に大変苦労をしたことが察せられる。

馬頭観音さんには今も枝花が添えられている。

  

 観音さんの右にはお堂もある。

 

蛇足

村史には46番札所の浄瑠璃寺の前にあった馬頭観音を境内に移したと書いてあるが、調べたところ残念ながら存在しなかった。

念のため、お寺の方に聞いても「知らない」と
いう返事だった。捨てられることはないのでどこかにあるのだろう。

 

下の地図はそれぞれの所在地を示す。すべての場所を見るときは、画面操作をしてください。

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